企画分析
政府によるAIデータセンター・メガプロジェクト:ビジネスチャンスと法的リスク
政府が推進する「大韓民国の大飛躍3大メガプロジェクト」は、半導体、フィジカルAI、AIデータセンターを組み合わせ、韓国をAI・先端産業のグローバル拠点としての育成を図る国家戦略です。このうちAIデータセンター・プロジェクトは、大規模なコンピューティング・インフラを全国に構築し、半導体・サーバー・電力・冷却・クラウドなどの関連産業まで輸出産業として育成することを目標としています。
政府の発表によると、SK・GS・ネイバーなどは第1段階として、計8.4GW規模のAIデータセンターの構築を推進します。SKが5GW、GSが2.4GW、ネイバーが1GWとし、長期拡張計画を含む全体目標は18.4GWとなります。投資誘致を含む民間の長期投資計画は約550兆ウォンと発表されました。
ただし、550兆ウォンは確定している政府予算や、発注済みの事業費ではありません。実際の投資規模と日程は、敷地・電力・許認可・顧客・資金調達および各企業の意思決定によって異なります。参加企業は、政策発表そのものよりも、個々のプロジェクトにおける実行可能性と具体的な契約条件を確認する必要があります。
1. 産業エコシステムと参加の機会
2026年7月に発足した「AIデータセンター・アライアンス」には、約400の企業・機関が参加しました。議長団には、ネイバークラウド、サムスンSDS、SKテレコム、NHNクラウド、LSエレクトリック、LGエレクトロニクス、GS、KT、フュリオサAIなどが名を連ねています。
データセンターの開発・運営やクラウドだけでなく、AI半導体・サーバー、ネットワーク、電力機器、発電・エネルギー、冷却・空調、建設・エンジニアリング、金融・セキュリティ・試験認証の企業にも参加の機会が見込まれます。政府は、国内の機器やソリューションを大規模なテストベッドによって実証し、データセンターの設計・構築・運営をパッケージとして輸出するという構想となっています。
2. 特別法に基づく制度的支援
『人工知能データセンター産業振興に関する特別法』は2026年6月9日に制定され、2027年3月10日より施行される予定です。
特別法は、許認可の一括処理と処理期限を導入し、期限内に拒否通知がない場合には許認可の処理が完了したものと看做すタイムアウト制を規定しています。非首都圏のAIデータセンターに対する電力系統影響評価の特例、特区指定、産業団地・港湾背後団地への入居特例、および技術開発・海外進出支援の根拠も整備しました。
しかしながら、特別法がすべての許認可を免除したり、承認を保証したりするわけではありません。建築・消防・環境・電気など、個別法律における実質的な基準は依然として満たす必要があります。住民からの意見聴取や書類の補完が必要な場合、処理期間も延長される可能性があります。
特別法上のAIデータセンターの具体的な設備・規模基準および電力系統影響評価の特例の範囲は、下位法令に委任されています。2026年9月現在としては、下位法令の整備段階にあるため、あらかじめ特例の適用を前提として投資スケジュールや収益性を確定してはなりません。また『分散エネルギー活性化特別法』に基づき、気候エネルギー環境部が告示する「電力系統影響評価制度の運営に関する規定」の制定案が行政予告されているため、両法令体系の整合性についても綿密に検討する必要があります。
3. プロジェクト参加時に検討すべき主なリスク
○ 電力の確保
政府による支援発表や近隣の発電所の存在だけで、実際の電力供給が保証されるわけではありません。電力系統影響評価が免除されたとしても、送電・配電容量の不足問題は別途解決しなければなりません。
参加企業は、契約電力の規模と実際の電力供給時期の確認を行う必要があります。特に、電力供給スケジュールがデータセンターの建設および運営スケジュールと合致しているかを確認しなければなりません。
送電線や変電所の建設、系統補強に必要な費用の負担主体も明確に定める必要があります。電力供給が遅延したり、約定した容量が供給されない場合に備えた契約条項も必要です。契約解除権、工事期間の延長、損失負担などに関する事項を事前に規定しなければなりません。
データセンターの開発事業権が譲渡される場合についても考慮しておくべきです。事業権の譲渡過程において、既存の契約電力を新規事業者に承継できるよう、契約関係の譲渡および承継条件を明確に規定しなければなりません。
電力の確保は、土地の買収、EPC契約、資金調達および顧客契約に先立つ、事業の中核となる前提条件であることを念頭に置く必要があります。
○ 許認可と立地
AIデータセンターには、国土計画、産業立地、建築、電気、消防、環境関連の規制が重層的に適用されます。産業団地内の敷地であっても、データセンターの入居が許可されない場合があります。産業団地管理基本計画に基づき、データセンターの入居可否を確認する必要があります。その後、各種許認可の優先順位と予想処理期間について把握しなければなりません。
産業団地に入居する場合は、運営体制も点検する必要があります。特に、開発主体と運営主体とが異なる場合が問題となる可能性があります。運営委託方式が産業団地関連法令に適合しているかどうかを綿密に確認しなければなりません。
設計や事業計画が変更となる場合も考慮する必要があります。変更内容が既存の許認可に及ぼす効力や、追加の許認可にどのような影響を与えるかについて検討しなければなりません。
地方自治体が敷地、基盤施設、税制支援などを約束した場合は、支援の法的根拠を明確に確認する必要があります。法的根拠があっても、関連予算が実際に確保されているかどうかを追加点検しなければなりません。
特別法に基づき一部の許認可が一括処理されたとしても、すべての行政手続きが自動的に完了するわけではありません。したがって、個別の許認可の対象、優先順位、担当機関および予想処理期間に関して総合的に整理した、プロジェクト全体の許認可ロードマップを別途作成する必要があります。
○ 環境・地域社会
大規模データセンターは、大量の電力と用水を使用します。温室効果ガスの排出、非常用発電機の稼働、騒音、廃熱の問題も発生する可能性があります。
送電線や変電所を設置する過程で、住民の反対や苦情が発生する可能性があります。実際、データセンターの開発過程において、地域社会からのクレームにより事業遅延となる事例は少なくありません。
事業者は、必要な環境許認可および適用されるエネルギー効率基準を確認する必要があります。温室効果ガスの排出、非常用発電機、騒音、廃熱などを管理できる運営体制も整備しなければなりません。
住民からの意見聴取の手続きや、地域社会からの苦情に対する対応策を、許認可申請の段階以前から準備しておくことが望ましいです。
環境に優しい、あるいは再生可能エネルギーを基盤とした施設として広報を行う場合は、実際の電力調達構造と環境パフォーマンスが広報内容と一致しているかを確認する必要があります。
○ EPC・機器供給契約
建築、電力、冷却、サーバーおよびネットワークのいずれかの部分に問題が生じても、データセンター全体の稼働が遅れる可能性があります。各設備が個別の性能基準を満たしていても、統合システムが契約上の性能と可用性を達成できない可能性もあります。
契約においては、設備間の設計およびインターフェースに関する責任を明確に配分する必要があります。統合テストと性能検収の基準および完了時期も具体的に定める必要があります。スケジュールの遅延、性能不足、または工事費の増加が発生した際の責任と補償範囲も契約に反映させる必要があります。
AI機器の急速な世代交代を考慮し、将来的な高密度サーバーや液体冷却の導入可能性についても初期設計に盛り込むことが望ましいです。
○ サプライチェーン・輸出管理
高性能GPUやネットワーク機器は海外への依存度が高く、輸出管理、経済制裁または供給不足の影響を受ける可能性があります。
供給契約においては、輸出許可の取得および経済制裁関連法規の遵守に関する責任主体を定める必要があります。機器の供給が中断された場合に使用可能な代替品や仕様変更の手順も整備する必要があります。価格・為替レート・関税の変動リスクの負担や、機器を供給できなかった場合の前払金の返還条件に関しても明確に定めなければなりません。
国産設備の実証事業に参加する場合は、性能不足、政府支援金の返還、および技術成果の帰属についても別途定める必要があります。
○ 顧客の確保と事業性
データセンターの収益性は、公表された施設容量よりも、実際の稼働率と長期顧客契約によって決定されます。主要顧客を確保できなければ、プロジェクト・ファイナンスも困難になる可能性があります。
顧客契約においては、最低使用量や最低売上高の保証条件を確保する必要があります。契約期間、中途解約および顧客の信用を得られる手段についても検討しなければなりません。電力費などの運営費の変動を利用料に反映させる方法や、可用性に関するサービスレベル契約(Service Level Agreement)違反に伴う責任についても定める必要があります。
長期顧客を確保せずに建設を先行する場合には、AI技術の変革、競合施設の増設およびコンピューティング価格の下落といったリスクを事業性の分析に反映させる必要があります。
○ 金融と政府支援
政府が政策金融を推進したとしても、当該プロジェクトに対する金融支援や収益性が保証されるわけではありません。
プロジェクト・ファイナンス取引を成立させるために必要な電力確保、許認可および長期顧客契約の状況を事前に把握しておくべきです。EPC事業者の完工保証や事業主の追加出資義務についても交渉する必要があります。補助金や税制支援を受ける場合は、支援の維持条件や回収事由を検討する必要があります。
政府や地方自治体の支援意向書は、法的な支払保証や最低収入保証とは区別して評価するべきでしょう。
○ データ・セキュリティ
データセンター運営者が顧客データを直接利用しない場合でも、個人情報処理受託者またはクラウド事業者として責任を負う可能性があります。
個人情報の処理、再委託および国外移転の要件を契約に反映させる必要があります。侵害による問題が発生した際の通知・共同対応や、バックアップ・災害復旧の責任も定める必要があります。データとAIモデルの所有権、再利用の範囲、および契約終了時の返還・削除手続きも明確にして置かなければなりません。
公共・金融・医療・国防分野の顧客を獲得するためには、分野ごとのセキュリティ・ネットワーク分離・認証要件を設計段階から反映させる必要があります。
○ コンソーシアムの運営
開発会社、発電会社、通信会社、建設会社、機器メーカーおよび金融機関が共同で参加すると、意思決定の遅延や責任の空白が生じる可能性があります。
コンソーシアム契約では、各参加企業における出資・技術・営業などの役割と、追加費用の負担基準を明確にすべきです。重要事項の意思決定手続きや、利益相反または膠着状態の解決策も策定しなければなりません。持分の譲渡、参加企業の中途離脱、および事業失敗時の処理手続きも事前に定める必要があります。
競合事業者間の共同入札や技術協力においては、価格・顧客・供給量などの機密情報の共有範囲を制限する、競争法上の規制も必要となります。
4. 参加企業の準備方針
参加企業はまず、事業において担当する役割の明確化を図る必要があります。開発・運営、投資、電力供給、EPC、設備供給、クラウドサービスなど、役割によって責任の範囲が異なります。また許認可、資金調達、性能保証および運営責任も異なる場合があります。
個々のプロジェクトに対する事前の実地調査も行うべきです。土地の権利関係や立地の適合性を確認しなければなりません。電力供給の段階や許認可の進捗状況も点検する必要があります。地方自治体の支援約束が実際に法的拘束力を持つかどうかも確認する必要があります。
特別法の内容を具体的に精査し、特例が適用される場合と適用されない場合とに分けて、事業スケジュールと事業費に関して算定することが望ましいです。
供給企業は、単なる業務協定よりも、拘束力のある発注契約を確保することが重要です。契約には、数量、納期、価格調整、最低購入条件を明確に規定しなければなりません。検収基準や契約解除に伴う補償条件も盛り込む必要があります。そうして初めて、実際の受注可能性が高まります。
プロジェクト全体の契約関係も統合的に管理する必要があります。土地、電力、EPC、設備、金融および顧客契約の責任とスケジュールが相互に連動しているためです。いずれかの契約で回収できなかったリスクが特定の事業者に集中しないよう、契約構造全体を見極める必要があります。
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法務法人(有)世宗は、以下のような支援を提供させて頂きます 1. 事業構造および許認可に関する法律アドバイス AIデータセンター特別法や電力・立地・建築・環境規制を検討し、電力系統影響評価および許認可のロードマップ、関係機関との協議戦略を策定することができます。 2. 投資・金融および契約関連の支援 AIデータセンターの敷地、電力確保、許認可などの主要な法的課題に関するデューデリジェンス、ならびに投資機関の設立、敷地購入、建設に必要な各種契約および法的文書の作成を支援いたします。 コンソーシアムの組成やプロジェクト・ファイナンスの構造、ならびに政府および地方自治体の政策支援要件を把握して連携を図ります。また、電力供給、EPC、機器供給、クラウドサービスおよびデータセンター利用契約の作成と交渉のサポートを行います。 |
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グローバル通商産業イシュー FOCUS1
一般的なデータセンターとAIデータセンターとの相違点とは?
一般的なデータセンター(以下「DC」という。)とAIデータセンター(以下「AIDC」という。)は、いずれもサーバーやネットワーク機器を運用する施設であるものの、その目的と設備構造とが異なります。AIDCは大規模なAI演算を処理する必要があるため、ネットワーク、電力、冷却、建物の設計に至るまで、従前のデータセンターとは異なる条件が求められます。両者の違いをまとめてみました。
第一に、目的が異なります。一般的なDCは、ウェブサイト、企業の業務システム、データベース、クラウドなどの様々な情報サービスを運営しています。サービスを安定的に提供することが重要になります。
一方、AIDCでは、大規模なAIモデルの学習と推論が重要です。完成したAIモデルを利用して、チャットボット・検索・レコメンデーションなどのサービスも提供します。一般的なDCが多様なデジタルサービスを運用するための基盤施設であるのに対し、AIDCは大規模な演算を行う施設です。
第二に、使用する演算装置が異なります。一般的なDCは、汎用演算に適したCPUを中心にサーバーが構成されています。
一方、AIDCでは、GPU・NPUなどのAIアクセラレータが核心的な役割を果たします。これらのアクセラレータは、大規模な並列演算に特化しています。AIモデルの学習と推論は、同一または類似する計算を同時に大量に処理します。数千から数万個のAIアクセラレータが投入されます。
第三に、ネットワーク構造が異なります。一般的なデータセンターでは、外部との安定した接続が重要です。インターネットや他のデータセンターとデータを円滑にやり取りする必要があります。
一方、AIDCでは内部接続がより重要となります。サーバーとアクセラレータの間で膨大なデータを高速でやり取りする必要があります。数千個のGPUが、1台の巨大コンピュータのように同時に動作しなければなりません。そのためには、超高速・超低遅延の内部ネットワークと大容量ストレージが必要です。
第四に、必要な電力規模が異なります。AIDCのサーバーは、一般的なデータセンターのサーバーよりもはるかに大量の電力を消費します。一般的なデータセンターは、数MWから数十MW規模のものが多く見られます。
一方、AIDCは100MWを超えるケースが多く見られます。超大型AIDCは、数百MWから1GW以上の電力容量を前提に設計されます。したがって、AIDCの拡大は、発電所や送電網を含む国家電力系統の問題につながります。
第五に、冷却方式が異なります。AIアクセラレータは電力の大量消費を伴うため、大量の熱を発生させます。一般的なDCでは、空気を用いた空冷式冷却が採用されていました。
ところが、高性能GPUが密集したAIDCでは、空冷だけでは熱処理をすることが困難です。そのため、高密度冷却技術の重要性が高まります。代表的な方式が、ダイレクトチップ液体冷却と液浸冷却です。ダイレクトチップ液体冷却は、CPUやGPUの上に載せたコールドプレートに冷却液を直接流して熱を取る方式であり、液浸冷却は、サーバー全体を絶縁液に沈めて熱を冷ます方式です。
第六に、建物と電力インフラの設計が異なります。AIDCは、既存の建物にGPUサーバーを追加するだけでは済みません。大規模な電力を収容できる変電設備、大容量の無停電電源装置と高密度冷却のための配管が必要です。
将来的には、現在よりも一層高性能なAIアクセラレータに置き換えられる可能性も高いです。したがって、電力および冷却容量の拡張を考慮した設計が重要です。建物が完成しても、電力および冷却能力を確保できないという事態にも、あらかじめ備えておく必要があります。
同じAIDCであっても、遂行する業務によってサーバーやネットワークの構成、運用戦略が異なる場合があります。AIDCは大きく分けて学習用と推論用があり、両者の運用方法は異なります。学習用データセンターは、AIモデルの開発に使用されます。この場合、多数のGPUを長時間にわたり同時に連結させて演算を行う能力が重要となります。推論用データセンターは、完成したモデルを用いてサービスを提供します。この場合、多数のユーザーからのリクエストに迅速に応答することが重要です。また、電力やアクセラレータの使用コストも抑える必要があります。
まとめると、一般的なデータセンターは、Web・企業システム・クラウドなど、様々な情報サービスを安定的に運用する「デジタルインフラ」です。一方、AIDCは、膨大な電力とデータを投入して大規模なAI演算を行う「高密度演算工場」に近いものです。
AIDCは、GPUサーバー以外にも、ネットワーク、電力系統、冷却、建物構造に至るまで、一つのシステムとして設計する必要があります。これが、一般的なDCとAIDCの最も重要な違いです。
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グローバル通商産業イシュー FOCUS2
AIデータセンターの賛否をめぐる世論 ― 米国と韓国の3つの違い
最近、米国ではAIデータセンター(以下「AIDC」という。)に対する反対世論が高まっています。単に『私たちの町に建設しないでほしい』という地域的な反対にとどまりません。連邦レベルでも、AIDCの拡張そのものに反対する世論が根強い状況です。
韓国でも、データセンターの立地をめぐる住民の反発は存在します。しかしながら、米国のようにAIDCの増設そのものに反対する世論がでてくる可能性は、比較的低いと言えます。そう判断する理由は3つあります。
第一に、電気料金の課金方式が異なります。
米国でAIDCに反対する最大の理由は「電気料金の上昇」です。AIDCは膨大な電力を消費し、発電設備や送電網への投資も増加します。その費用は消費者に電気料金として転嫁されます。米国国民は「ビッグテックのAI事業のために、なぜ私達がより高い電気料金を支払わなければならないのか」という不満を抱くようになります。
米国の電気料金は、そのほとんどが地域単位の課金方式であり、民間企業に基づいています。米国の電気料金は「地域」によって著しく異なります。韓国の電力料金の課金方式は米国とは異なります。政府が価格を統制する準国営企業である韓国電力が、電力販売を事実上独占しています。電気料金体系も全国的に適用されます。特定の地域にデータセンターが建設されたからといって、その地域の住民の電気料金がさらに上がることはありません。つまり、米国とは異なり、AIデータセンターの誘致と電気料金の上昇との関連性は弱いのです。
第二に、AIデータセンターに対する見方が異なります。
米国では、AIDCはビッグテック企業の施設として認識されています。アマゾン、マイクロソフト、グーグル、メタといった巨大テクノロジー企業が、AI競争に備えて大規模なデータセンターを建設しています。利益は企業が享受し、AIDCによって発生する費用は地域社会が負担しているという不信感が高まっています。税制優遇措置や電力インフラの支援に比べ、AIDCによって創出される雇用も期待に及ばない傾向にあります。
一方、韓国ではAIDCは「国家戦略インフラ」という認識が強いです。AIや半導体の競争力を高めるために不可欠な施設として認識されています。同時に、「大企業の投資誘致」のためにも 望ましいものと認識されています。
政府が3大メガプロジェクトを湖南(ホナム)に建設すると発表した際、湖南がこれを積極的に歓迎したのに対し、他の地域では批判的な世論が見られたことが代表的です。『なぜうちの地域には建てず、他の地域に建てるのか』という世論の方がむしろ支配的です。
第三に、米国は「過剰」に近く、韓国は「不足」に近い状況です。
米国はすでに世界最大規模のAIDC市場を有しており、電力需要と送電網への負担が急速に増しています。米国で提起される疑問も変化しています。過去には「データセンターは必要か」というものでした。最近では「一体、あとどれくらい建設しなければならないのか」が重要な問いとなっています。データセンターの建設ペースを緩めたり、新規建設を一定期間中断すべきだという主張まで出ている状況です。韓国では、AI競争のために不可欠なAIDCが不足しているという認識がより強いです。
以上をまとめると、AIDCに対して米国では反対世論がより強い一方、韓国では好意的な世論がより強いと言えます。国全体としてもそうですが、地方自治体についても同様です。
アメリカ人がAIDCの地域誘致に反対する最大の理由は、「費用は住民が負担するものの、恩恵はほとんどない」からです。アメリカでは民間企業が電力を供給し、州政府あるいは地域単位で電気料金が課される方式です。
韓国はそうではありません。準国営企業である韓国電力が電力を供給しているため価格統制が行われており、電気料金は地域単位ではなく全国単位で決定されます。AIDCの設立は、地域への企業誘致の可能性も高めるため、好意的な世論が形成される可能性が高くなります。
| 通商産業政策センター(Center for Trade, Industry and Public Affairs) 法務法人(有)世宗の通商産業政策センターは、単純な法律リスクを検討するだけでなく、企業において、急変するグローバル地政学・通商・産業環境を機会転換できるようにサポートする総合戦略コンサルティング組織となります。経済安全保障・輸出統制・関税等の各国における規制の影響を政策的コンテキストを通じて構造的に分析し、その中で企業の海外進出戦略・投資構造・供給網の再編、紛争解決に向けたソルーションを統合設計することがセンターの重要な役割です。防衛産業、エネルギー・インフラ、造船、バッテリー、半導体、AI等の戦略産業分野を重点的に取り扱い、米国・EU・中国の3大圏域をはじめとする主要国家における規制リスクの統合管理を行います。 |










