電気通信会社であるA社は、患者が直接訪問して紙の処方箋を提示する薬局に対し、病院・医院が電子処方箋を伝送する電子処方箋サービスを2010年12月頃から提供しています。その後の2011年9月30日に個人情報保護法が施行され、以降2014年に入り、インターネット放送会社であるB社が、A社の電子処方箋サービスに関して、処方箋情報漏洩のおそれがあるという内容を報道し、一部の医師らが、電子処方箋サービスの適法性に対して問題提起をしました。検察は、A社のサーバーを押収する等、大々的に捜査を行い、2015年7月頃A社と同社の担当役職員に対し、機微(センシティブ)情報である患者の処方情報を違法に収集・保存・保有および提供することにより個人情報保護法に違反しているだけでなく、電子処方箋に保存されている個人情報を探知および漏洩させ、医療法に違反しているという旨で起訴しました。

法務法人世宗は、A社と同社の役職員らの弁護人として、医療法令および個人情報保護法令に関する深い理解に基づき、2000年7月から施行された医薬分業および現在のような処方箋様式の導入、2003年3月に医療情報化を促進するために電子カルテとともに導入された電子処方箋制度等、医療法令の改正経過および個人情報保護法施行後に、行政安全部等の関連部署における個人情報保護法についての解釈等を提示しています。また、法務法人世宗は、A社の電子処方箋サービスの仕組みおよび内容、病院・医院から薬局に伝送される電子処方箋の暗号化および処方情報等における個人情報の漏洩を防ぐためのセキュリティシステムの内容、海外の電子処方箋制度等について具体的に説明を行いました。なお、A社の電子処方箋サービスは、病院・医院が暗号化した電子処方箋を薬局に伝送するものとして、このような伝送が、個人情報保護法に定める個人情報の「処理」ではなく、かつ、暗号化された電子処方箋は「機微情報」にも該当せず、病院・医院から暗号化された状態で処方箋情報の伝送を受け、これを中継サーバーに一時的に保管した後に薬局へと伝送する過程において、薬局システムに伝送されると復号される仕組みになっているため、A社と同社の役職員らにおいては、処方箋情報の内容を知り得なかった点、また、薬局が伝送を受けた処方箋情報は、患者から受け取った紙の処方箋情報と同じ処方情報であるため、医療法に定める「探知」および「漏洩」のどちらにも該当しないという点につき、詳しく弁論を行いました。

上記の法務法人世宗の主張をそのまま受け入れた第一審法院(裁判所)であるソウル中央地方法院は、A社と担当役職員らに対して全て無罪判決(公訴事実が特定されていない部分に対しては公訴棄却判決)を言い渡しました。法務法人世宗は、個人情報保護法が施行された後、大法院(最高裁)の2016年8月17日宣告2014ダ235080判決において、公開された個人情報の収集・提供等の処理における違法性の有無に関する先駆け的な大法院判決を導き出す等、個人情報保護法に対する深い理解と研究を基に、企業の営業活動を保障するために力を注いで参りました。法務法人世宗は、このような個人情報保護に関する高い専門性をもって、今回もA社の電子処方箋サービスに対する無罪判断を導き出しました。