雇用労働部が2026年7月2日付で「職場内ハラスメント予防対応マニュアル」(以下「改正マニュアル」といいます。)の全面改正・発表を行いました。今回の改正は、2023年4月のマニュアル発刊以降、約3年ぶりに行われたものであり、これまで蓄積されてきた法院の判決例を反映し、事業所(恒久的施設)における調査手続きの公正性・客観性に関する指針を具体化したことが特徴となっています。以下では、改正マニュアルの主な内容と企業における人事労務関連の実務上の示唆点についてご説明いたします。

 

1.使用者が行為者である場合「セルフ調査」防止および調査委員会の特定委員「忌避回避」手続きの新設

改正マニュアルは、いわゆる「セルフ調査」を防止するため、①使用者(例として代表取締役、登記取締役、支配人、人事労務担当者、工場長など)がハラスメント行為者として届出(通報)があった場合には、当該使用者を調査過程から排除するよう勧告しながら監査が直接調査を行い、取締役会に報告するように別途の体系整備を行うこと、②会社の費用により、外部の専門家等を介入させたり、外部機関に依頼して調査を進めるよう提示されています。また③調査の公正性および信頼性を確保するため、事業所の自主調査の結果と判断の根拠につき、申告者(通報者)に対して十分に説明を行うよう勧奨しています。

このように、改正マニュアルは、被害者と事業所の双方が納得のいく調査手続きを設けるよう案内をしています。

 

2.職場内ハラスメントの類型別の事例新設および最新の判決例の大幅補充

改正マニュアルは、2023から2026年上半期までに届出のあった職場内ハラスメントに関連する下級審および大法院判決を含めて70件以上の判決例を引用しています。これまで確認されている実際の判決例を行為類型(過度な業務指示、業務からの排除、暴言、ハラスメント行為、業務とは無関係の個人的な依頼など)別に整理し、職場内ハラスメントの成立要件(地位または関係における優位性、業務上の適正範囲、身体的・精神的苦痛または勤務環境の悪化)による認定事例・不認定事例を、実際の判決に基づいて比較・提示しています。

このように、改正マニュアルは、従前の仮想事例が中心となっていた記述から脱し、最新の事例を通じて実務上の予測可能性を大幅に引上げ、職場内ハラスメントの判断根拠を具体的なものとし、現場において一貫した基準により職場内ハラスメントの有無について判断できるよう案内しています。

 

3.虚偽・反復届出(通報)に関する内容の新設

改正マニュアルは、制度趣旨から外れた根拠のない虚偽の届出や反復届出については望ましくないという点を明示し、虚偽・反復の届出を懲戒事由として認めた最新の判決例を収録しました。これは届出権の濫用に対する企業における対応根拠を提示したものとして、使用者サイドの実務に重要な意味があるものと思われます。

このように、改正マニュアルは、最新の判決例に基づいて職場内ハラスメントの判断基準と事業所における調査・措置手続きに関して詳細に案内を行っているため、各企業としては、改正マニュアルの内容を基に、社内でのハラスメント予防やその対応システム、並びに就業規則等の社内規定を全面点検する必要があるものと思料されます。


法務法人(有)世宗は、HR Compliance Termを中心に職場内ハラスメント調査事件の代行および法律諮問、調査・懲戒手続きの設計、就業規則の制定・改正等の全般に関してリーガルサービスを提供しており、チーム長を務める李世里(イ・セリ)弁護士が改正マニュアルの検討作業に直接参加するなど、当該業務に対する最高レベルの専門性を有しています。

改正マニュアルの詳細に関する追加の質問事項、または職場内ハラスメント対応に関連する業務についての問い合わせがありましたら、いつでも下記の連絡先にご連絡頂きますようお願い申し上げます。