去る10月20日に環境部は、▲使い捨て用品の使用量の減量、▲高品質リサイクルの拡大、かつ▲再生原料産業の育成を骨子とする「全周期脱プラスチック対策」(以下「脱プラスチック対策」といいます。)を発表しました。環境部は、脱プラスチック対策を通じ、2025年までに廃プラスチック発生量を2021年と比べて20%削減するという目標を掲げています。
今回のニュースレターでは、脱プラスチック対策の主な内容とその示唆点について検討していきます。
[1]脱プラスチック対策の主な内容
脱プラスチック対策は大きく▲使い捨て用品の減量、▲完全なリサイクル、▲再生原料・代替材産業および市場の育成、▲国際社会における責務履行という4つの推進課題を提示しています。各推進課題別の主な内容については、次のとおりです。
| 推進課題 | 細部内容 |
|---|---|
| 使い捨て用品の減量 | ① 使い捨て容器を再利用可能な容器に替えるための基盤づくり - 再利用容器の製作・使用の標準化ガイドラインづくり - 再利用容器の貸与・洗浄サービスの認証制導入 - 宅配包装(梱包)に再利用包装の適用 ② 使い捨てコップの保証金制の段階的な拡大 ③ 廃棄物負担金の現実化ロードマップづくり - リサイクルが難しいプラスチック使い捨て用品につき、処理費用の増加分を反映する ④ 消費者に対し、再利用容器の活用時にインセンティブを与え、エコ環境を実践している店の情報等を提供する ⑤ 農産物・宅配包装(梱包)・デリバリー容器に対する具体的な規制基準の制定 - 管理の死角となっている農産物の過剰包装を規制する - 宅配の過剰包装に基準(2024年施行)を適用するための検査方法・システムづくり - 業者・製品別包装材料の使用料等の情報提供に向けた包装情報システムの構築 - デリバリー容器の厚さ・材質・色合いの基準づくり |
| 完全なリサイクル | ① 包装材料のリサイクル容易性の評価項目の拡大、実効性の強化 - (現行)材質・構造・容易性に重量基準等を追加する - 評価結果に応じリサイクル分担金の減免・割増の適用を拡大する ※ 現在ペットボトルに適用されている差等割増率を他のプラスチック包装材料についても拡大する - リサイクル性の最下位等級の持続判定時に、処理負担金を賦課する(リサイクル可能な対象から除外する) ② 循環利用性の評価範囲を製品の全周期(原料・使用、リサイクル)へと拡大する ③ リサイクル支援金の体系改編、焼却型リサイクル(熱回収・固形燃料)を物質的・科学的なリサイクルへと転換されるよう誘導する - 物理的・熱分解リサイクル支援金の割当率の拡大(40→60%)、支援金単価の引上げ ④ 再生原料の使用目標率・使用率の設定 - 一定規模以上のプラスチック原料の生産者に再生原料の使用目標率を設定する - ペットボトル等の最終製品にも再生原料の使用率を設定する |
| 再生原料・代替材産業および市場の育成 | ① 環境表識認証の拡大および認証基準の強化 ② 生分解プラスチック認証基準の細分化等、生分解プラスチック活性化の支援 ③ 循環支援の認定基準および手続きの簡素化 ④ 脱プラスチックのための零細業者における材質・工程の変更支援 |
| 国際社会における責務履行 | プラスチック国際協約交渉委員会*への積極参加、対応戦略の樹立 * 第5回国連環境総会(UNEA-5.2)では、プラスチック全周期を扱う拘束力のある国際協約を2024年までに成案化することを目標とする国際協約決議案の採択、2022年11月から2024年12月まで、総5回の交渉委員会を運営する予定である |
[2]示唆点
廃プラスチックが環境汚染の主な原因として指摘されるなか、プラスチック使用を規制するための各国における動きも速度を増しています。英国では、2022年にプラスチック包装税を施行しており、またドイツでは、2025年までに使い捨てペットボトルに再生原料25%の使用を義務化するという計画を明らかにしています。フランスでは、使い捨てプラスチックの全面使用禁止のロードマップ(2021年から2040年まで)を施行しています。欧州連合(EU)は、2030年までに、再生原料30%の使用を義務化するという計画を明らかにしました。我が韓国政府においても、このような国際社会の流れに合わせ、資源循環政策の大転換推進計画(2020年)、生活廃棄物の脱プラスチック対策(2020年)を公表しており、今回の脱プラスチック対策もやはり、これと同じ脈絡からであると言えます。
特に、今回の対策は「全周期」という用語を使っているという点に特徴があります。これは、過去のプラスチック規制が主に使用された後、つまり「廃棄」や「リサイクル」の段階に焦点を当てたものであったならば、今後の規制は、原料の購入-生産-使用-消費-廃棄・リサイクル等の製品の全周期に亘って行われるものであるという点を象徴的に示しているといえます。実際に脱プラスチック対策は、リサイクルの容易性・循環利用性の評価の拡大(製品・包装の設計段階)-再生原料の使用目標率・使用率の設定(原料・生産段階)-使い捨てコップ保証金制・再利用容器の使用時におけるインセンティブ(消費段階)-リサイクル支援金の体系改編(リサイクル段階)のように、製品の全周期に亘る対策等を提示しています。
また、脱プラスチック対策においては、現在他の先進国に比べて低い水準で策定されている廃棄物処理負担金を現実の水準に近づけ、リサイクルの容易性の評価結果による不利益を拡大する計画を明らかにしています。これによりプラスチックの過多使用やリサイクルが難しいプラスチックの使用による企業の経済的負担はより増大するものと予想されます。
炭素中立時代を迎え、国際社会のプラスチックに対する規制が強化されている趨勢を考慮すると、国内においても、プラスチック使用への規制はより一層強化されるものと思われます。今回、政府における脱プラスチック対策の目標と内容が、前政権時代に発表された生活廃棄物の脱プラスチック対策での内容の殆どを維持しているという点、過去の規制の死角であった農産物の包装・宅配包装・デリバリー容器についても、規制の対象に含めたという点からも、強化されていることが伺えます。
現在国会では、包装(梱包)材料に対する規制の拡大、再生原料の使用率の公開等を骨子とする多数の法律案が審議中である状態であり、脱プラスチック対策に盛り込まれた大部分の計画についても、今後立法に至るものと予想されます。今回の対策を反映し、製品の設計、原料等を変更するためには、相当な時間とコストが掛かり得るということを考慮すると、事業者としては、持続的に関連立法の動向をモニタリングし、政府の規制に対して先手の対応策づくりを心掛ける必要があるといえます。
弊所、法務法人(有限)世宗の環境チームは、多様な製品および包装に関する環境規制についてリーガル・サービスを提供しています。環境部出身の顧問や専門委員をはじめとする各環境分野の専門家を擁していますので、上記の内容につき、ご質問等がございましたら、下記の連絡先までご連絡ください。より詳細な内容について対応させて頂きます。

