[1] 改正告示の主な内容

新·再生エネルギー供給認証書(Renewable Energy Certificate、以下「REC」といいます。)の加重値を変更するための「新·再生エネルギー供給義務化制度および燃料混合義務化制度の管理·運営指針」(以下「本告示」といいます。)の一部改正案が、2021年7月28日より施行されました。

本改正告示は、産業通商資源部が3年周期で行うREC加重値の見直し事項を反映しており、(ⅰ)海上風力発電の加重値増加および予想加重値案内制度の導入、(ⅱ)林野および水上太陽光(100kW以上)の加重値下落、(ⅲ)発電差額支援制度転換設備に対するREC加重値適用等の内容を骨子としています。

特に、海上風力発電の場合、巨額の設置投資費が発生する特性を考慮し、連系距離と水深に応じた加重値を複合的に適用する規定を新設することで、事業性が大幅に改善されており、事前予想加重値案内制度を取り入れることで、事業推進における不確実性が一部解消され、金融調達の可能性が高まり、速やかに事業を推進できるものと思われます。

本改正告示によるREC加重値の主な改正内容は別添*をご参考ください。以下では、海上風力発電に関する主な内容について検討します。

 

[2] 海上風力発電加重値

既存の告示は、海上風力発電の加重値算定において連系距離だけを考慮しましたが、改正告示では、基本加重値2.5を基準に連系距離*と水深**を複合的に考慮して算定することになります。
* 連系距離:海洋調査と海洋情報の活用に関する法律に基づく海岸線とその海岸線に最も近接している発電機の中央部の位置との直線距離
** 水深:海洋調査と海洋情報の活用に関する法律に基づく基本水準面を基準に測量した深さ

海上風力発電の加重値算定式は、以下のとおりです。

海上風力発電の加重値算定式
(➊連系距離複合加重値 + ➋水深複合加重値) - 基本加重値

上記算式によると、例えば、連系距離15km及び水深30mに設置される海上風力発電所の場合、従来には加重値2.5が適用されましたが、改正告示によりますと、加重値3.3(連系距離複合加重値2.9、水深複合加重値2.9)が適用されることになり、事業性が大幅に改善されると見込まれます。

 

[3] 海上風力発電の予想加重値案内制度

既存の告示の下では、海上風力発電所の竣工後、供給認証書発給対象設備の確認時点になってはじめて加重値が確定されたため、海上風力発電の事業性を早期に確定することが難しく、これにより、着工時点に建設資金を調達するためのファイナンシングを受けることが困難になることがありました。海上風力発電業界は、産業通商資源部にこのような問題点を引き続き提起してきましたが、今回の改正告示では、業界からの問題提起を受け入れ海上風力予想加重値案内制度を導入しました。

改正告示によると、海上風力発電事業者は、環境影響評価(または小規模環境影響評価)および海域利用影響評価(または海域利用協議)を完了すると、新・再生エネルギーセンターに予想加重値案内を申請することができ、かかる申請を受けた新・再生エネルギーセンターは、予想加重値を検討し、その結果を海上風力発電事業者に案内することになります。

ただし、上記制度は、単なる案内制度に過ぎず、最終的な加重値は、供給認証書発給対象設備の確認が完了する時点に確定されるため、最終確定される加重値と事前に案内された加重値が一致しない可能性もあり得ると思われます。これと関連し、産業通商資源部は報道資料により「最終的な加重値は、設備確認時点に確定する(事業計画書と同様に設置される場合変動なし)。」としていますが(電気事業許可の申請の際に、管轄行政機関に提出した海上風力発電事業計画書の内容と同様に設置される場合、最終加重値に変動はないという旨で理解されます。)、今後、上記制度の細部事項の制定の状況を見守る必要があると思われます。

 

[4] 示唆点

REC加重値は、経済性(発電原価)と政策の側面(環境、技術開発、産業活性化への影響等)を主な要因として考慮することになりますが、今回の改正において、海上風力の加重値が大幅に増加したのは、相対的に高い発電原価と、前後方産業との連携効果等を考慮したものと思われます。産業通商資源部長官は、3年ごとにREC加重値を見直すため(本告示第7条第1項)、本告示の改正は、これから3年間新・再生エネルギー発電源別に事業性に相当な影響を及ぼすと予想されます。

法務法人(有)世宗のプロジェクト・エネルギーグループは、新・再生エネルギー発電事業に関する独歩的な経験と諮問実績を有しており、関係法令および制度、発電所の建設および運営等、新・再生エネルギーと関連して様々な諮問を提供しております。

上記の内容につき、ご質問等がございましたら、下記の連絡先までご連絡ください。より詳細な内容について対応させて頂きます。

 

[別添]

区分 小分類 改正前 改正後
太陽光 一般敷地 100kW未満:1.2
100kWから:1.0
3000kW超過から:0.7
100kW未満:1.2
100kWから:1.0
3000kW超過から:0.8
建築物等 1.5 1.5
林野 0.7 0.5
水上太陽光 1.5 100kW未満:1.6
100kWから:1.4
3000kW超過から:1.2
ESS設備(太陽光設備連系) 4.0 削除
風力 陸上 1.0 1.2
海上 2.0 2.5(基本加重値)
- 水深、連系距離増加時   +0.4(複合)
沿岸海上 - 2.0(基本加重値)
燃料電池 基本 2.0 1.9
- 副生水素使用時   +0.1
- エネルギー効率65%以上時   +0.2
バイオエネルギー 木材ペレット/木材チップ全焼 0.5 0.5
木材ペレット/木材チップ混焼 - -
未利用山林バイオマス全焼 2.0 2.0
未利用山林バイオマス混焼 1.5 1.5
Bio-SRF全焼 0.25 0.25
発電差額支援制度転換設備 - -0.2
水熱(温排水熱) 1.5 0
石炭IGCC 0.25 0

 

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