2021年7月1日、米国下院で「米国の環境および陸上交通の新しいビジョンに対する投資法(案)(Investing in a New Vision for the Environment and Surface Transportation in America Act、以下「INVEST in America Act」といいます。)が通過しました。

 

INVEST in America Actの目的

INVEST in America Actの主な目的は、米国におけるインフラの改善および環境に優しいエネルギーへの転換を促すことにあり、その具体的な内容は、以下のとおりです。

  • 「米国雇用契約(American Jobs Plan)」履行の第一歩として、米国におけるインフラの改善と環境に優しいエネルギーへの転換に2兆米ドル投資
  • クリーン・エネルギー関連の議題開発および気候行動奨励
  • 持続可能な旅客鉄道および公共交通サービスへの接近性の拡大
  • 電気自動車への転換加速化および運送部門における化石燃料使用削減

 

資金の各部門別投資割合

調達された資金は、大きく以下の5部門に投資される予定であり、各部門別の投資割合は、下表のとおりです。

出所 : 2021年水資源関連米国投資法に対する資料表(米議会下院の運輸・インフラ委員会)

 

韓国に対する示唆点

INVEST in America Actによる投資事業は、バイ・アメリカン法(Buy American Act)およびバイ・アメリカン法(Buy America Act)により、主に米国労働者らが米国の資源を使用して行うことになります。1933年制定されたバイ・アメリカン法によると、米国政府は、公共建設事業の際に優先して米国産資材を使用しなければならず、1982年制定されたバイ・アメリカン法は、高速道路、鉄道または高速運送システム建設に関する政府調達に適用されますが、鉄、鋼鉄、その他製作品で建設される運送インフラ・プロジェクトには、米国で生産された資材を使用するものと定めています。

一方、INVEST in America Actのインフラ・プロジェクトと関連しては、関連技術、システム、資材等を提供できる韓国企業らおよび年金基金のような財務的投資家らも一定の役割を担うことができると思われます。また、再生エネルギー・プロジェクト、電気自動車、代替投資または鉄道車両等のINVEST in America Actによる投資の影響を受ける産業群は、米国および韓国企業にとって緊密な協力の場になれるものと期待されています。

韓国投資家らが、米国のインフラ・プロジェクトに投資するためには、一般的に対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United States、以下「CFIUS」といいます。)の審査手続を受けなければなりません。CFIUSは、エネルギー部門を含め米国の重要技術およびインフラに対する外国人の投資または買収が、米国の国家安保に与える影響等、米国の国家安保を侵害する要素があるか否かを検討します。これにより、韓国企業や投資家のINVEST in America Act関連プロジェクトに対する投資は、徹底した審査手続を経るものと見込まれます。

米国のインフラ計画の展開は、欧州のインフラ計画とも似ています。欧州連結基金のコネクティング・ヨーロッパ・ファシリティ(Connecting Europe Facility)プログラムは、2021年から2027年にかけて300億ユーロ規模の資金を運送、エネルギーおよびデジタル・プロジェクトに支援することを目的としています。このような欧州インフラ計画には、韓国企業が参加できる機会も多くあるものと予想されるところ、韓国企業としては、米国のみならず、欧州およびその他国家においてのインフラ事業への投資機会についても、分析し備えておくことが非常に重要であるといえます。

 

今後の見通し

INVEST in America Actは、米国下院での通過に続き、上院も通過しなければ正式法律として成立しません。2021年7月13日付の上院予算委員会がいわゆる「ソフト」インフラ・パッケージ(“soft” infrastructure package)を承認することで、INVEST in America Actに対する党を超えた合意に向けた土台が整っており、これにより、上院での通過の可能性もより高まったといえます。

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